社内フリーランスエンジニアという選択肢について

はじめに

この記事は、所属している株式会社O-KUNadvent calendar 2021の1つとして投稿しております。

所属会社のadvent calendarなのに、とんでもないテーマになってしまっていますが、僕が経営陣とモメて、自暴自棄で勢いのまま執筆した…というワケではありませんので、安心した上で是非お気軽に読んでもらえれば嬉しいです。笑

社内フリーランスとは

2017年に体重計で有名なあの「タニタ」が、2020年にはメディア業界のボス「電通」が、制度として導入したことで話題にもなりました。

かいつまんで言えば、正社員を個人事業主化するというものだそうです。

終身雇用制度が崩壊したと言われて久しい昨今、新しい会社と個人の関わり方として提案されているものかと考えられます。

メリット

1. [社員側] 仕事の時間や場所にとらわれない

契約内容によりますが、通常の雇用契約とは違って社内フリーランスの契約(開発エンジニアの場合はおそらく準委任契約)は、かなり柔軟に設定することができます。

契約にはよりますが、大抵の場合は月140〜180時間等で自由に働けたりします。

毎朝何時に出社しろとか、お昼休憩は何時から何時だとか、誰かに決められて生きるのではなく、自分で考えて自分で決定できるのは素晴らしいことですよね。

2. [社員側] 節税できる

これは圧倒的なメリットです。

実は、僕たち正社員の収める税金は、大抵の場合、会社から頂く給与のうちの40%以上を占めていたりします。

社員側からすると、給与として振り込まれた際に既に天引きされているので、意識しにくいかもしれませんが、これはかなりの割合です。

しかし社内フリーランスの場合、一般的なフリーランスや個人事業主と同じなので、税金は必要経費を差し引いたものにかかるようになります

  • 仕事に関連する交通費
  • 自己学習用の書籍や、研修参加費
  • モニターやキーボード等の周辺機器代
  • 効率化UPが期待できるmacの高級なアプリ代
  • 関係者との打ち合わせを兼ねた会食費

これらを全て差し引いた金額に対して税金がかかる形になるので、サラリーマンと比べてかなり大きく節税できます。

考えてみたら、普段の生活の中で全く仕事のことをしない瞬間というのが少なすぎて、その気になればなんでも経費にできてしまいそうですが、ここは専門家の先生に相談した方が良いかと思います。笑

3. [両者] 開発に関する知見を貯めやすい

エンジニアをしている方ならご存知の通り、開発に関してのトレンドは本当に日進月歩です。

「社内で十分に知見が共有されていて、みんなが開発しやすい技術」というのは、大抵の場合、既に古い技術となっていたりします。

開発会社にとって、そういった「技術のレガシー化」はとても大きな問題です。

(なぜなら、優秀なエンジニアほど普通はレガシーな会社に入りません)

これに対して、社内フリーランスがいる企業には、とても有効な方法があります。

それは、自社のプロジェクトが少し落ち着いた隙に、狙っている技術を使っている別企業のプロジェクトに社内フリーランスの人が潜り込んできて、知見を貯めて帰ってくるという方法です。

これは、ある程度企業と社員に信頼関係がないと、後に上げるデメリットに繋がる可能性はあるのですが、業としてはプロジェクトが落ち着いた際も社員を抱えなくて良いし、新しい知見が得やすくなります。

また、そういった動きができる点で社員の方も、知見をためやすくなります。

デメリット

1. [企業側] 優秀な人材が流出しやすくなる

上記3番目のメリットを挙げた際に、「知見を貯めに出た社員が帰ってこない可能性があるのでは」と考えられた経営者の方もいるかもしれません。

もし、その企業に全く魅力がない場合、知見を得た社員がその企業に戻らないといけないということもなかったりするので、構造的には通りかもしれません。

しかし考えて頂きたいのですが、逆に社員を正社員にしておけば流出しないのでしょうか。

特にエンジニアは、2年程度でガンガン転職していく人が多い業種です。

終身雇用が崩壊した現代では、魅力がない会社の場合、正社員でもどんどん流出していきます。

つまり、本当は社員が正社員だろうがフリーランスだろうが関係ないのかもしれません。

2. [社員側] 税金を勉強しておかないとやばい

ご存知出ない方もいると思いますが、雇用契約というのは従業員がしっかり守られているものだったりします。

労災保険や残業に関しては、労働基準法が全員一律に社員を守っています。

しかし、フリーランスは違います。

自分の身は、自分で守るのです。

そのため、フリーランスになった場合には、退職金や年金なんかも含めて、しっかり勉強しておかないと、後で痛い目を見る可能性があります。

(もちろんちゃんと勉強すれば、大企業並に老後の準備ができたりもします)

このあたりは、フリーランスなので、あくまで自己責任になる…ということは念頭においておく必要があるかと思います。

社内フリーランスになった方が良い人

メリットとデメリットを挙げてみましたが、やはり…

  • 主体的なタイプの人
  • スペシャリストになりたい人
  • 自分の仕事を追求していきたい人
  • 好きなようにしたい人

は、総じておすすめできるかと考えられます。

しかし逆に

  • 受動的なタイプの人
  • ジェネラリストになりたい人
  • 会社に守ってもらいたい人
  • 大企業に勤めていて、終身雇用が叶いそうな人

そういった方は、無理せずに会社に守ってもらいつつ、もしその会社が潰れたら都度転職活動をしながらキャリアを進めていくのが良いかと思われます。

もちろん、駆け出しエンジニアの方は、しばらくは会社に守ってもらいつつ、何も心配せずに安定的に開発経験を積んだ方が良いかと思います!

いずれにしても、よく考えて自分の人生を判断して頂けたらと思います。

さいごに

会社にしがみつかないと行きていけない…というのは怖いことだと思います。

この状態は、下手すれば会社の奴隷になりかねない状態です。

「条件によっては、社内フリーランスとしてもやっていけそう」というカードがあるだけで、結果的に正社員として働くとしても全然違った精神状態でいられるのではないかと僕は考えています。

読んで頂いた皆さんが、精神的安全性を担保された状態で毎日仕事して頂けると嬉しいです!

最後までありがとうございました!

PON3

PON3

5年くらい前に、30代完全未経験から独学でWeb系のソフトウェアエンジニアになった人。 現在はフリーランスエンジニアとして、大阪の自宅からフルリモートで東京の自社開発企業のお仕事をしている。 主戦場はバックエンドで、Go言語でのAPI開発や、Pythonでのデータ分析が武器。 とは言いつつ、フロントエンドをSPAを実装したり、IaCでクラウドインフラの設計構築したり、スクラム開発でプロジェクト運営したりするなんでも屋。 いつも、ググってきては誰かが書いてくれた記事を見て開発していたが、もらってばかりでなく世の中に返すこともしたいと思い、技術ブログをはじめる。 妻と2歳になる娘の3人暮らし。 何かご用件がある方は、TwitterのDMからどうぞ。